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>SHINJI
ぼくは夢を見ていた。悲しい夢を……
アスカや父さん、そして蒼い髪の少女の夢を……

「バカシンジ!!」
いつもの一言でぼくは現実に引き戻された。
「よおやく、お目覚めね。バカシンジ」
彼女の名前は惣流・アスカ・ラングレー。
お決まりのパターンの幼馴染みってやつだ。
とは言っても4歳の時から数年でしばらくドイツにいた。
国籍はアメリカ、去年戻って来て今は隣で暮らしている。
名前でもわかるが純粋な日本人ではなく実はクォーターだ。
髪の色はきれいな栗色、ケンスケの云うにはは校内でNo.1美少女らしい。
「なんだ、アスカか」
「なんだとは何よ!こうして毎朝遅刻しないように起こしに来てやってるのに、それが幼なじみに捧げる感謝の言葉ぁ?」
「うん。ありがとう。だからもう少し寝かせて」
何と言われようと今のぼくには寝ることしか頭になかった。
「何甘えてんの!うんもぉ〜〜、さっさと起きなさいよ!」
そう言うと同時にアスカはバサッっと布団をはがす。
ある一点を見つめぼくは顔を蒼ざめ、アスカは顔を赤くそめていった。

>WRITER
ダイニングルームにビンタの音が響き渡る。
「キャー!!エッチ!バカ!ヘンタイ!信じらんない!」
「仕方ないだろ!朝なんだから!」
怒鳴り声が朝の食卓に響いた。
この音量では周囲に住んでいる人にも響き渡っただろう。
そんな事は気にせずにシンジの母、ユイは洗い物を続けていた。
「シンジったら、せっかくアスカちゃんが迎えに来てくれてるってのに、しょうのない子ね」
「ああ」
新聞に読みふけっているゲンドウは無造作にそう答えた。
「あなた。新聞ばかり読んでないで、さっさと支度してください」
「ああ」
そう答えながらもゲンドウは新聞を読み続けていた。
「もう……、いい年して、シンジと変わんないんだから」
「君の支度はいいのか?」
「はいいつでも。もう、会議に遅れて冬月先生にお小言いわれるのは私なんですよ」
「君はモテルからな」
「バカ言ってないでさっさと着替えてください」
「ああ、わかってるよ、ユイ」
しかし、ゲンドウの視線は新聞に注がれているのだった。

>SHINJI
「ほぉら、さっさとしなさいよ!」
「うん。わかってるよ。ホントうるさいんだからアスカは……」
し、しまっ……
「なんですってぇ」
パーン
過ちに気づいた時はすでに2発目のビンタをくらっていた。

「それじゃ、おばさま、いってきまーす」
「いってきまーす」
アスカに押されながら2人分の手形を持ってぼくは家を出た。

>WRITER
「はーい、いってらっしゃい」
「ほら、もうあなた!いつまで読んでいるんですか」
「ああ、わかってるよ、ユイ」
と、言いつつもゲンドウは新聞から目を離そうとしなかった。
「例のものの準備はできたのか?」
急いでいる素振りを見せずにゲンドウは唐突に口を開いた。
「あなたが昨日、口元を緩ませながら自分で準備してたじゃないですか」
「…………」
2人の会話がこの後続くことはなかった……

>SHINJI
日の光を浴びて少し温度の上がった町中をぼくはアスカと一緒に走っていた。
「今日も転校生がくるんだってね」
走りながら、少し前にいるアスカに声をかけた。
「まぁね、ここも来年は遷都されて新しい首都になるんですもの。どんどん人は増えていくわよ」
「そうだね。どんな娘かな?かわいい娘だったらいいな」
妄想にふけっていたぼくは、アスカの頬が少し膨らんだことに気づかなかった。




第壱話 出会い




>WRITER
「ハァ、ハァ、ハァ」
茶色い目をした美少女がパンをくわえながら走っている。
その髪の色は鮮やかな蒼い色をしている。
「あ〜ん、チコク、チコクぅ!」
「初日から遅刻じゃ、かなりヤバイってカンジだよねぇ」
急いでいる彼女は曲がり角にそのままのスピードで突入する。
ありがちなパターンで曲がり角から人が飛び出してきた。

コイ〜〜〜〜〜〜ン

>SHINJI
奇妙な音と共にぼくは頭をぶつけていた。
「つつつつ……」
「あたた……」
顔を上げると女の子の白い足とその先が目に入る。
「あっ!」
彼女はぼくの視線に気づくと慌ててスカートを上から抑えつけた。
その時始めて彼女の顔を見て、ぼくは言葉を失った。同時に胸が高鳴る。
そんなぼくと対照的に、彼女はさっと立ち上がると
「ごめんね!マジで急いでいたんだァ!ほんと、ごめんね」
と、笑顔で話しながら立ち去っていった。
ぼくは夢の中の少女を思い起こしながら彼女の走り去った方向を見つめていた。
この数秒後にアスカと呼ばれる落雷が落ちてきたのは話すまでもないだろう。

「ぬワァニィ〜」
教室中にトウジの大声がこだました。
トウジとケンスケはぼくの親友だ。
トウジはいつもジャージ姿で、ケンスケはミリタリーオタク。
変な2人だけど友情は硬い、中学に入ってから引っ越して来たけど妙にウマが合っていた。
「で、見たんか……その女のパンツ!」
「別に見えたってわけじゃ。チラッとだけ」
「カァー!朝っぱらから運のエエやっちゃなぁ」
周りを気にせずにトウジは大声で喋り続けた。
と、そんなトウジの後ろから手が伸びてきて彼の耳をギュッとつまんだ。
「いてててて。いきなり何すんのや……イインチョ!」
トウジの耳をひっぱっていたのはいつも通り委員長の洞木さんだった。
「鈴原こそ朝っぱらから、何バカなこと云ってんのよ!ホラ、さっさと花瓶のお水かえてきて!週番でしょ!」
「ホンマうるさいやっちゃなあ」
彼女はトウジのことが気になっているみたいだ。
でも、トウジは鈍いから全然気がついていない。
「尻にしかれるタイプだな。トウジって」
「あんたもでしょ」
は?
「なんで僕が尻にしかれるタイプなんだよ!」
「なによ!本当のこと言ったまでじゃないの……」
「どーしてだよっ」
「見たまんまじゃないの!」
「アスカがいつもそうやってポンポンポンポン」
「なによ!うるさいわねバカシンジ!」

>WRITER
「いや〜平和だねぇ」
シンジとアスカの会話を聞きながらケンスケはふと、そう思っていた。
そんな時だった。爆音と共に1台の車が校庭の駐車場に入ってくる。
そして、タイヤの擦れる音と共に赤い車は止まった。
とっさにケンスケはカメラをサッとその車に向けて構えた。

>SHINJI
ぼくは聞き慣れたいつもの音を聞きつけると、花瓶の水を替え終ったトウジと一緒にケンスケのいる窓へと駆けつけた。
「おお!ミサトセンセイや!」
スラリとした足が車から出てくる。
サングラスを掛けた長い髪の女性、僕達2ーAの担任の葛城ミサト先生だ。 「スッ」っとサングラスを外す様が堂に入っている。
思わずぼくたちは「おおお」と、声を漏らす。
ミサト先生は全然先生らしくない、どちらかというとお姉さんといった感じで男子生徒から人気を集めていた。
「やっぱええなぁ、ミサトセンセは」
聞こえたのか聞こえてないのかわからないが僕達の方にピースする。
もちろん僕達も笑いながらミサト先生にピースをしかえした。
「何よ3バカトリオが!バッカみたい!」
後ろからアスカと洞木さんのハモった声がきこえた。
その後始業のチャイムが鳴るまでまで僕達とアスカたちは口喧嘩を続けたのだった……

キーンコーンカーンコーン
やっとあたりが暖かくなった頃、学校中に始業のチャイムの音が響き渡る。
ほぼ同時に2ーAの教室にミサト先生が入ってきた。

「起立、礼。着席」
ピシっとしたいかにも委員長らしい声がかかる。
「よろこべ、男子!今日は噂の転校生を紹介するわ」
先生の後ろからかわいい女の子が出てきた。
「綾波レイです。よろしく」
蒼い髪の笑顔が……
「アア〜ッ!!」
ぼくは思わず声をあげて立ち上がっていた。
今朝の娘だ……
「アア〜ッ!!」
彼女も僕に気づく。
「今朝のパンツノゾキ魔!」
グサッ
その言葉は僕の心に槍のように突き刺さった。

>WRITER
「ちょっと、言いがかりはやめてよ!」
みんなの冷たい視線がシンジに集まったところで、アスカが声を上げた。
「あんたがシンジに勝手に見せたんじゃない」
つい思わず口に出してしまったことを後悔していた彼女はこの一言で自分に対しての怒りの気持ちを他人に向き変えていた。
八つ当たりである。
「あんたこそ何?」
「すぐにこの子かばっちゃってさ。何?デキてるわけ?ふたり」
「た、た、ただの幼馴染みよ、うっさいわねぇ」
痛いところを突かれて少しアスカが体を引く。
「ちょっと、授業中よ!静かにしてください!」
見るに見かねたヒカリがわってはいる。
「あら、たのしそうじゃない。2人とも続けていいわよ」
ミサトがそう言うと教室中に笑い声が響き渡った。


静まり返った室内。
人工進化研究所と書いた表札が見える。
そこには初老の男とゲンドウ、そしてユイがいた。
「碇、あれは今日だったな」
「ああ」
ゲンドウはぶっきらぼうに答えた。
「覚醒……それとも……」
ユイはそこまで云って言葉を濁らせた。


つづく


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