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>WRITER
彼は夢を見ていた。
ただ、一晩で見れる夢の長さには限界がある。
だが、夢の幅は広く様々な夢が存在する。
それはただ単純に己の欲望が夢となって表れることもあれば、記憶の中に封じ込められたようなような昔の思い出が夢となって現れることもある。
夢はその人の思い出、あるいは可能性を我々に見せてくれるのかもしれない。

>SHINJI
「うわっ」
僕は奇妙な言葉を聞いて飛び起きた。
それが夢の中の事だったのか、誰かの台詞だったのかは分からないけど、無意識のうちに……寝ているのに意識もなにもないんだけど、僕は飛び起きていた。
とりあえず、心を落ち着かせながら辺りを見まわす。
窓から月明かりが射し込んできている。
あれ?なんでリビングで寝ているんだろう……
授業の途中からの記憶がない……ということは寝ちゃったのかな。
まあいいか、目が覚めたんだ起きよう。
むにゅ……
む、むにゅ?
この右手に触れる柔らかい感触。
ぷにぷに……
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僕はゆっくりと右手の先にあるものを見るため、めくれた布団をゆっくり遡っていく。
すると水色のパジャマが見えた。
そのパジャマの頂点と思われる場所の上に僕の右手は乗っていた。
水色のパジャマといえば……
なおも遡るとそこには想像通りレイの顔があった。
僕は慌てて手を離す、と同時に周りを見まわした。
アスカに見られたらビンタが飛んでくる。いや、殺されるかも……
僕の体を恐怖の2文字が駆け抜ける。
360度全て見渡したが幸い誰もいないようだ。
次に僕はレイが目を覚ましていないか確かめようとして彼女を見た。
月明かりに照らされた彼女はとても神秘的に見えた。
僕はなぜ彼女と同じ布団で寝ているのだろう。
そんなことすら忘れてただ彼女に見入っていた。
しばらく彼女を見ていて僕は思い立った。
今、軽くキスしてもばれないのではないだろうか?

…………良心と格闘中…………

優柔不断な僕にしては珍しく良心という名の砦はあっさりと槍に付かれて負けた。
端整なレイの顔に近づいていく。
それに比例するように僕の鼓動は高まっていた。
月夜に晒された唇を見ているとたまらなくなってくる。
彼女の顔の前でぼくはゆっくりと目を瞑った。
「シ〜ン〜ジ〜」
間延びしたその声で僕の鼓動は跳ね上がった。
首がぎしぎしと音を立てながらその声の主の方向を向く。
「ア、アスカ……」
僕とレイの部屋、そして壁が壊れて繋がってしまった廊下の方にアスカが仁王立ちで立っていた。
暗がりでその顔は見えないが間違いなくアスカだ。
間違っていて欲しいがそんなことはない。
ゆっくり歩を進めながら歩いてくる。
すぐ近くまで来るとアスカは膝を落とした。
今度は目の前にアスカの顔がある。

>WRITER
「ねえ、シンジ。キスしたい?」
アスカの顔がますます近づく。
「えっ」
「だから私とキスしたい?」
唖然としているシンジ。
「それとも私とじゃいや?」
慌てて顔を左右に揺する。
「じゃあしよう」
そう言ってアスカはシンジに顔を近づけた。
シンジはとっさに目を瞑る。
そしてシンジの唇に触れた。

>SHINJI
ドキドキ……
僕の心臓は高鳴っていた。
アスカが自分からキスをしようと言うなんて思ってもみなかった。
迫りつつあるアスカの紅い唇を見て僕は覚悟を決めた。
そっと目を瞑る。
…………………………………………………………………………………………………………



  EPISODE:4.2 dream a desire dream












げし!
何かが顔を圧迫して僕は目を開けた。
目の前には足が有る。
その先にはアスカが立っていた。
「あんたレイの隣で気持ち悪い顔しながら寝てんじゃないわよ!」
「へっ?」
周りを見渡すと場所はリビングの布団の中、そしてレイが隣で寝ているのに違いはなかったが、状況が違っていた。
今は昼だということは日差しを見れば解るし、なにより僕は寝ていたらしい。
「なんだ、夢か」
内心残念な気持ちもあったけど僕は上体を起こした。
「夢かって、唇突き出してどんな夢を見ていたのよ!まさかレイと……」
ギクッ
僕の心臓は再び止まりかけた。
「……図星なの……」
「い、いや、あの、その、アスカともしようと……」
「私とも!?」
しまった〜、母さん、父さん、先立つ不幸をお許し下さい。

>WRITER
そのままシンジは目を閉じて祈っている。
アスカは怒りに震えつつもそのシンジを責められないでいた。
僅かに紅く染められた顔は怒りの為だろうかそれとも別の感情が働いているからだろうか……
やがて何か考えついたようで、膝を折ってシンジと向き合った。
「ねえ、シンジ。キスしたい?」
アスカの顔がますます近づく。
「えっ」
「だから私とキスしたい?」
シンジは頬を抓る。
「夢じゃないわよ」
シンジは錯乱していた。
「で、でも、順番というものが……」
「冗談に決まってるでしょ。早くお昼作ってよね」
「……うん」
シンジは納得できないでいたがアスカに逆らえないので素直に起きてキッチンに向かった。
やがてキッチンから包丁の音が聞こえてくる。
「そろそろ寝たふりやめたら?」
アスカは独り言のように呟いた。
「あれ?バレバレだった?」
寝ていたかのように見えたレイが目を開けた。
「あたりまえでしょ」
「う〜ん、シンちゃんのアスカに対する気持ちを聞きたかったんだけどなー」
「聞いてそのまま寝てたの?」
「答え次第かな」
そう言ってレイは微笑んだ。
「ふ〜ん、まあいいわ、そろそろ起きたら?」
「うん、そうだね」
レイは起きあがると部屋の方に歩き始めた。
「着替えてくるね」
「OK!」

>SHINJI
さっきのはなんだったんだろう……
あの夢もヤバかったし……
カヲル君があんなものをプレゼントしてきたせいだろうか……
最低だ……俺って……
そんなことを考えながらも料理はできていたらしい。
目の前には焼きそばがあった。
「アスカ〜、ご飯出来たよ」
僕はリビングに顔を出した。
リビングを見るとアスカが布団をたたんでいた。
「あれ、レイは?」
「着替えに行ったわよ」
「……レイの分作ってないんだけど……」
「なんで作らないのよ!」
「だってさっき起きてなかったじゃないか」
「……それもそうね」
その後、結局ぼくとアスカの分を分けて3人で食べることにした。

「アンタ達1週間も寝ていたのよ」
食べながらアスカが話し掛けてきた。
「「1週間!!」」
ぼくとレイの声が重なる。
「そうみたい」
アスカが頷くと、
「そうみたいってなんでそんな曖昧な言い方するの?」
とレイが聞き返した。
「アタシも昨日起きたばかりなのよ」
「じゃあアスカも1週間寝てたの!」
「そう、嘘みたいなホントの話。朝、おばさまに言われて同じ私も同じ質問したんだけどね」
「信じらんな〜い」
僕も……
「で、今日はまだゆっくり休んでなさいだって」

>WRITER
その翌日の学校への通学路。
ゆっくりと歩く少年と少女2人を見つめる人影があった。
彼の周り、いやその視界の行き届く先には3人以外誰もいない。
しかし、その人影は3人を見つつ、まるでなにかに怯えるように周囲に気を配らせていた。
動植物まで気を配るような視線の這わせ方だ。
少年達と距離が開いたためその人影は後を追うように移動を始めた。
人影が影から影へ移動する間にその姿が露になる。
その人影はまだ成熟していない小柄な体型だった……


つづく


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